日本の民話 第41話 猫神(ねこがみ)



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     むかしむかし、佐世保(させぼ)の黒髪町(くろかみちょう)に、一人の侍がいました。
     侍は身重の奥さんと女中、それにタマという名の猫と、みんな仲良く暮らしていました。
     侍夫婦は大の猫好きで、二人の可愛がりようは大変なものでした。

     さてその頃、里では大イノシシが現れては、田畑を荒らしていました。
     百姓たちは困り果てて、侍にイノシシ退治を頼んだのです。
    「民を守るのは侍の役目、引き受けましょう」
     その夜、侍は弓矢を持ってイノシシ退治に出かけました。
     ところが奥さんは、心細くてなりません。
     なぜなら、お腹の赤ちゃんが、今夜あたりにも産まれる様な気がしたからです。
     それに女中も里帰り中なので、家には誰もいなくなってしまうからです。
    「どうか、今夜は家にいて下さいませ」
     奥方はそう言いましたが、侍は、
    「なに、すぐに戻って来る」
    と、出かけてしまいました。
     里のはずれの湯田(ゆだ)の尾の池まで来た侍は、木陰に身をひそめてイノシシが現れるのを待っていました。
     するとその時、後ろで何やら気配がします。
     はっと弓を構えて振り向くと、何とそこには里へ帰っているはずの女中が立っていたのです。
    「なぜここに? 里へ帰ったはずでは」
    「・・・・・・」
     女中は答えず、何かを訴える様に侍に近づいて来ます。
    「さては、お前は噂に聞くタヌキだな。よし、手始めに、まずはこのタヌキから」
     侍は、女中目掛けて矢を放ちました。
    「ぎゃーーーっ!」
     確かな手応えを感じた侍がそこへ行ってみると、そこには血の跡しかありません。
    「逃がさぬぞ!」
     侍が血の跡をたどってどんどん進んでいくと、何と自分の家まで続いていたのです。
    「もしや、妻の身に何か!」
     侍が家に飛び込むと同時に、家の中から、
    「オギャー、オギャー」
    と、いう、赤ん坊の泣き声が響きました。
    「おおっ、生まれたか!」
     侍はタヌキの事は忘れて、無事に赤ちゃんを産んでくれた妻の介抱をしました。

     翌朝、再び血の跡をたどって行った侍は、血の跡が続いている床の下をのぞいてびっくりです。
     何とそこには可愛がっていた猫のタマが、矢が刺さったまま死んでいたのです。
     猫のタマは女中に身を変えて、奥さんの出産を知らせに行ったのでした。
    「そうか。そうだったのか。タマよ、許してくれ」
     侍は祠(ほこら)を立てると、タマの霊をなぐさめました。

     これが黒髪町(くろかみちょう)に残っている『猫神さま』と呼ばれる祠で、今も猫を可愛がる人のお参りが絶えないそうです。
      おしまい








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