怪談怖い昔話 第235話 七色の灯光



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むかしむかし、伊勢の国(いせのくに→三重県)の小さな村に、重兵衛(じゅうべえ)さん夫婦がすんでいました。
 重兵衛さんはたいへん魚釣りが好きで、毎日川へ行ってはアユを釣っていました。
 ある日の事、重兵衛さんがいつものように朝早くから川へアユ釣りに出かけると、川をへだてた向こう岸に、昼間というのになにやら大きく光っているのが見えました。
「これは、なんじゃろう?」
と、つぶやきながら右手のほうを見ると、そこにも光が、そして左手にも何か光っています。
 赤、青、黄、紫(むらさき)、緑、橙(だいだい)、そのいくつかの光はしだいに大きくなって、とうとう重兵衛さんのまわりをすっかりつつんでしまいました。
 さすがの重兵衛さんもたまりかねて、出せる限りの大声で、
「おーい! だれかこの光を消してくれー!」
と、さけびました。
 ですが、川岸にはだれもいません。
 光はなかなか消えようとせず、重兵衛さんは困りはててしまいました。
 おびえていた重兵衛さんは、ふと思いあたり、
「今まで、この川でアユを取ったのは本当にすまなかった!」
と、いって、あやまりました。
 すると光は、まるでうそのようにしずまりました。
 これは重兵衛さんが毎日アユばかり取るので、アユたちが目玉を七色の光を発して、重兵衛さんをこらしめたという事です。
    おしまい