日本の民話 第119話 負けず嫌いのアマガエル



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むかしむかし、あるところに、とてもヘソ曲がりのアマガエルがいました。
 ある日の事、アマガエルが友だちのアカガエルと遊んでいると、突然、馬のひづめの音が近づいてきました。
「あっ、アマガエルくん! こっちに馬が走って来るよ。早く逃げないと、蹴り飛ばされてしまうよ」
 しかしアマガエルは、胸を張るといばって言いました。
「ははーん、弱虫だな。たかが、馬ぐらいで逃げるものか。でも、お前は怖かったら逃げるといいよ」
「このヘソ曲がり! 勝手にしろ!」
 アカガエルはそう言うと、道ばたの草むらへと飛び込みました。
 するとそこへ、馬がもの凄い勢いで走ってきたのです。
「わぁ、わぁ、何て早さだ!」
 アマガエルも、あわてて逃げようとしましたが、馬のひづめに引っかけられて、
「グゲェーーーー!」
と、悲鳴を上げながら遠くの方へ蹴り飛ばされてしまいました。
「おーい、大丈夫かい!」
 アカガエルが心配して草むらから出て行くと、アマガエルは大きな目玉を白黒させて、目を回しています。
「ねえ。だから、早く逃げようと言ったのに」
 ところがアマガエルは、よろよろしながらも威張って言いました。
「何がだ? おいらは、何ともないぞ」
「でも、蹴り飛ばされたとき、情けない声で『グゲェー!』と、声を出したじゃないか」
「いや、その、あれはだな、馬がおいらを踏んづけそうになったから、『ふざけるな!』と、馬に怒鳴ってやったんだ」
「それじゃあ、目玉を白黒させていたのは、どういう事だい?」
「ああ、あれはだな、馬の奴を『このやろー!』と、睨みつけてやったんだ」
「それじゃ、さっき起き上がったとき、よろよろしていたのは?」
「ああ、あれはだな、生意気な馬の奴を、蹴飛ばそうとしてたんだよ」
「・・・はい、はい」
 負けず嫌いのアマガエルに、友だちのアカガエルも、あきれてしまいました。
   おしまい