日本の妖怪 第141話 古庫裏婆


古庫裏婆(こくりばばあ)は、鳥山石燕による江戸時代の妖怪画集『今昔百鬼拾遺』にある日本の妖怪で、老婆のすがたをした妖怪。
『今昔百鬼拾遺』では、猫をかたわらに寝かせて糸をよる作業をしている老婆のすがたで描かれており、石燕による解説文には、ある山寺の庫裏(くり)に7代も前の住職の梵嫂(ぼんそう、僧侶の妻・梵妻)が住み着いており、檀家が寺におさめた食べ物や金銭を盗み取ったり、墓地に葬られた屍を掘り起こし皮をはいで死肉を喰らうようになったものだとある。「僧の妻を梵嫂(ぼんさう)といえるよし 輟耕録(てつこうろく)に見えたり」と、文頭で石燕は「梵嫂」という言葉について述べているが、『輟耕録』(中国の明代の随筆。日本でも流布していた)に記されているのは梵嫂についてであり、古庫裏婆について記されているわけではない。