動物


     政府は6月1日ペットの犬や猫へのマイクロチップ装着を義務化する改正動物愛護管理法を施行した。ブリーダーやペットショップは販売する犬・猫へのマイクロチップ埋め込みや情報登録が必須に。これらの事業者から犬や猫を買った人も、マイクロチップと自身の個人情報をひも付ける必要がある。災害や盗難によるペットと飼い主の別離を防ぐ他、犬や猫の無責任な遺棄を抑止する。

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     マイクロチップの大きさは直径1.4~2mm、長さは8.2~12mm程度。円筒形で、獣医師が専用の注射器を使って犬や猫の皮下に埋め込む。チップには15桁の番号が登録されており、専用のリーダーで読み取ることで識別できる。チップリーダーが発する電波から給電して動作するので、電池なしで半永久的に動作するという。

     犬や猫を買った人は、30日以内に日本獣医師会などに届け出し、自身の情報とマイクロチップデータベース上でひも付ける必要がある。登録する情報は氏名、住所、連絡先など。引っ越しなどで連絡先などが変わった場合は情報の書き換えが必要になる。

     情報の登録や書き換えはオンラインか紙の書類で受け付ける。手数料は紙の場合1000円オンライン300円。手続きが完了次第、証明書を発行する。証明書はオンラインの場合PDFで提供する。

     ブリーダーやペットショップではない里親などから譲り受けた場合、マイクロチップの装着は努力義務となる。法改正前に購入した犬や猫も同様。ただし一度マイクロチップを装着した場合、情報の登録が義務になる。

     ブリーダーは犬や猫の誕生から120日以内、もしくは販売までにマイクロチップを埋め込み、飼い主と同様に情報を登録する必要がある。ペットショップも犬や猫の仕入れから30日以内、もしくは販売までにマイクロチップの情報を更新しなければならない。

     いずれの事業者もマイクロチップを装着し、情報を登録していない場合、犬や猫を販売できない。違反した場合は都道府県知事から勧告を受ける。悪質な場合は業務取り消し命令の対象になる場合もある。

     データベース上の情報は、警察か自治体のみアクセスできるようにすることでセキュリティを確保したという。法改正を受け、環境省内閣府SNSなどでペットへのマイクロチップの装着を呼び掛けている。

    制度全体のイメージ(環境省公式サイトから引用)


    (出典 news.nicovideo.jp)


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    デジタル家電などを手掛けるサイエルインターナショナルは、「モスキートキラーランプ スタイリッシュ蚊取さん SLI-EM2」(予想実勢価格:6980円前後)を6月中旬に発売します。

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    “蚊”を光でおびき寄せファンで吸い込み高圧電撃で退治!ってなんかスゴそう!


    (出典 news.nicovideo.jp)


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    2022年6月から、販売される犬や猫にマイクロチップの装着が義務化される。ペットジャーナリストの阪根美果さんは「飼い主の半数超は『装着させたくない』と回答しているが、健康被害はほぼなく、感じる痛みも通常の注射と同程度とされている。犬や猫の体に大きな負担はかからず、災害などで離れ離れになっても、飼い主がすぐに判明する効用は大きい」という――。

    ■東日本大震災では多くのペットが離れ離れに

    2022年6月1日から、ペットショップやブリーダーといった第一種動物取扱業者が取り扱う犬や猫へのマイクロチップ装着の義務化がスタートします。

    犬や猫が生後120日齢になるまで(それ以前に他者に譲渡する場合は譲渡前まで)に装着し、指定登録機関へ所有者登録を行うことも義務付けられます。そのため、ペットショップなどからマイクロチップを装着した犬や猫を迎え入れた場合には、飼い主が所有者変更の届け出を行う義務が生じます。

    また、既に犬や猫を所有している飼い主には、動物愛護法の「動物の所有者は動物が自己の所有に係るものであることを明示する措置をとる」という観点から、マイクロチップの装着は「努力義務」と位置付けられています。新たに犬や猫を拾ったり、マイクロチップを装着していない犬や猫を譲り受けた場合も同様となります。

    マイクロチップが注目され始めたのは、東日本大震災の後からです。多くの犬や猫が飼い主と離れ離れになり、自治体などに保護されました。迷子札や鑑札、狂犬病の注射済票を首輪に付けていた場合は100%飼い主が判明しましたが、首輪のみや首輪が外れてしまった場合は困難を極め、飼い主が判明することはほぼありませんでした。もしマイクロチップの装着がなされていたら、より多くの犬や猫が飼い主と再会できたことでしょう。

    マイクロチップの義務化は、そのような災害時はもちろん、平常時の迷子や盗難、事故に遭ったりしたとき、身元を速やかに証明することを目的としています。つまり「もしもの時に役に立つ」というものです。

    ■山中や動物園前に遺棄される犬や猫たち

    また、犬や猫など動物を巡る社会問題でもある「飼育放棄」や「遺棄」などを未然に防ぐという効力も期待されています。後述するように、全国の保健所などに引き取られる犬と猫は年間7万頭以上に上り、そのうち2万頭以上が殺処分されています。

    2013年9月に施行された改正動物愛護法では、自治体が業者から犬や猫の引き取りを求められても拒否できると明記されました。しかし、その改正があだとなり、2014年には全国の山中などに大量に犬が遺棄される事態となりました。いずれも人気種の成犬で、繁殖に使えなくなり業者が捨てた疑いが指摘されています。

    また、2018年11月に11頭、2019年4月に9頭と宇都宮動物園の関係者出入口前にレトリーバー系の子犬が遺棄され、こちらも業者が捨てた疑いが指摘されています。そして、2020年8月には、千葉県習志野市のショッピングモール内の猫カフェ前に、子猫2頭がキャリーバッグに入れられた状態で置き去りにされました。一般の飼い主によって捨てられたと指摘されています。

    そして、日本がペット先進国である欧米に追いつくためには、マイクロチップ装着の義務化は必須であったとの見解もあります。そのようないくつかの理由から2019年動物愛護法を改正し、義務化に至ったのです。

    ■義務化について知らない人は76%にも上る

    マイクロチップが日本に入ってきたのは1997年で、2002年頃からその普及活動が始まりました。2004年には、犬や猫などの動物を輸入する際のチップの埋め込みが義務化。2005年には「特定外来生物」や「特定動物(危険動物)」への個体識別措置として義務化されました。

    当初は一般の飼い主への認知度は低く、装着もわずかでした。環境省マイクロチップ義務化に関する資料によると、2005年の公益社団法人日本獣医師会のマイクロチップ登録制度(AIPO)の登録数は、犬と猫を合わせて約1万件でした。その後、2010年には約45万件、2022年3月時点では約281万件と着々と登録数が増えています。今後は義務化に伴い、ますます登録数が増えていくだろうと予想されています。

    しかしながら、日本トレンドリサーチを運営する株式会社NEXER(ネクサー)が、2021年12月28日2022年1月12日に全国男女計2000名を対象に「犬猫のマイクロチップ装着義務化に関するアンケート」を行ったところ、「今年6月に犬猫へのマイクロチップの装着が義務化されることを知っているか」との質問に対し、76.3%の人が知らないと回答しました。

    ■半数超の飼い主が「装着させたくない」と回答

    また、「現在飼っている犬や猫にマイクロチップを装着しているか」との質問に対しては、全頭装着していない75.5%、全頭装着している21.5%、装着している犬猫もいる3.0%という回答。さらに、全頭装着していないと言う飼い主に対し「今後マイクロチップを装着させたいと思うか」との質問をしたところ、55.9%の人がマイクロチップを装着させたくないと回答しました。

    現段階では、多くの一般の飼い主が装着を否定的に捉えていることがわかります。その理由には「体に異物をいれるなんて考えられない」という根強い抵抗感が感じられます。また、「健康への影響が心配」「費用も高いし、手術は避けたい」「室内飼育なので必要ない」「必要性がまだ理解できていない」などマイクロチップ装着への不安や理解不足も多く見受けられました。

    アンケート結果から読み取れるように、一般の飼い主の「努力義務」は、まだスタートラインにも立っていない状況です。まずは、マイクロチップ装着についての正しい情報を入手し、その抵抗感や不安、理解不足を払拭(ふっしょく)することが大切です。その上で、装着について考える必要があるでしょう。

    ■感じる痛みは通常の注射と同じ程度

    マイクロチップは直径約2mm、長さ約8~12mm程度の円筒形の電子標識器具です。電源は不要で、体内に埋め込んだら脱落する可能性は低く、半永久的に使用可能です。

    チップごとに15桁の番号(識別番号)が記録されていて、専用のリーダー(読み取り機)で読み取ります。この番号には所有者情報などさまざまな情報がひも付けられ、前述した指定登録機関のデータベースに保存されます。照会することにより、個体識別や所有者情報などがわかるという仕組みです。

    チップの埋め込みは、注射針のついたインジェクターインプランターと呼ばれる使い捨ての埋め込み器で行います。麻酔や鎮静剤の使用はなく、犬や猫が感じる痛みも通常の注射と同等とされています。

    埋め込み部位は、背側頸部(けいぶ)(首の後ろ)の皮下深部が一般的です。チップにはいくつかの規格がありますが、日本国内では、国際規格(国際標準化機構)であるISO11784/5に統一されています。指定登録機関への登録は、この規格のチップに限定されます。

    また装着は、獣医療行為として獣医師が行います(2023年からは新たな国家資格となる愛玩動物看護師も獣医師の指示のもとに装着できるようになります)。装着費用は動物病院によりますが、2500~5000円程度が一般的です。

    装着後に「マイクロチップ装着証明書」が発行されます。この証明書を添付の上、装着後30日以内に指定登録機関へ登録します。パソコンスマートフォンなどでのオンライン申請(300円)と、専用用紙による郵送申請(1000円)が可能です。また、登録した情報は、所有者が変わるたびに変更登録が必要となります。変更登録も同様の手数料がかかり、完了すると登録証明書が発行されます。

    *この指定登録機関への登録制度は、日本獣医師会が民間事業として行っているマイクロチップ登録制度(AIPO)やその他の民間業者が行っているマイクロチップ登録制度とは異なります。そのため、既にこうした事業者に登録したデータは「移行登録サイト」より無料(令和4年5月31日まで)で移行することができます。

    ■もしもの時にもペットと飼い主がひも付けされる

    マイクロチップ装着の最大のメリットは、犬や猫が迷子なって保護されたとき、身元証明が確実にできるので飼い主と再会できる可能性が高くなることにあります。迷子札や鑑札などは首輪ごと外れてしまうことがありますが、マイクロチップであれば脱落することはないからです。

    また盗難時には、保護されたとしても自分のペットだと証明するのは困難です。「似ているだけだ」と主張されたら、取り戻すことはできません。しかし、マイクロチップを装着して登録してあれば、自分が飼い主だと証明することができるのです。

    災害、盗難などペットの防災の観点からも大切なことといえます。また、確実に飼い主が特定できることから、保護されても他の人に譲渡されたり、殺処分されてしまうというリスクを避けられます。そして、飼育放棄や遺棄など「安易にペットを捨ててしまうことを思いとどまらせる抑止効果がある」と期待されています。

    ■犬や猫の体に大きな負担はかからない

    デメリットは、体内(皮下)に埋め込む際に「通常の注射程度」の痛みがあることです。ワクチン接種等の注射針よりも若干太いので、痛みが強いのではないかと考える飼い主も多いようです。しかし最近になり、従来品よりもサイズが小さいマイクロチップが開発され、動物病院に広がりつつあるので、このデメリットは軽減されそうです。

    また、犬や猫が保護されたとしても、読み取るためのマイクロチップリーダーがなければ番号がわからず、照会することができません。現在は、全国の動物愛護センターや動物病院、保健所などに常設されていますが、十分とはいえません。今後は普及の拡大に応じて、さらに多くの場所に常設する必要があるでしょう。

    さらに、飼い主にとって気がかりなのは、マイクロチップ装着による健康への影響でしょう。

    しかし、その装着が適切に行われていれば、動物の体に負担をかけることはないとされています。特にアレルギーなどの副作用が起きないように、チップの外部には生体適合素材が使用されています。まれに皮下組織内でチップが移動することがありますが、健康や読み取りに影響はないそうです。

    また、「診察に問題はないのか」と筆者が利用する動物病院の獣医師に聞いたところ、「装着していてもレントゲンやCTスキャンなど支障なく行うことができます。一定の条件下でMRI画像が乱れることはありますが、診断はもちろん動物の体や番号の読み取りに影響はありません。」とのことでした。

    ■先行する海外では義務化に違反すると罰金も

    実は、海外におけるマイクロチップの普及は、日本より10年以上も早く進められてきました。欧米を中心に1986年頃から普及活動が行われ、マイクロチップ装着に対する理解も進展しています。フランススイスベルギーイギリスイタリアオーストラリアなど、既に義務化されている国も多く、違反した場合には罰金等が科せられます。

    これまで海外において膨大な装着実績がありますが、現在まで装着後の副作用はほとんど報告されていません。また、外部からの衝撃による破損の報告もありません。健康被害でわかっているものは英国小動物獣医師会による情報で、370万頭以上のマイクロチップ装着実績のうち腫瘍が認められたという2例の報告だけです。

    そのため、マイクロチップの安全性は「高い水準である」と世界的に評価されているのです。多くの飼い主が不安要素と考えている健康への影響は、心配のないレベルといえるでしょう。

    ■日本では罰則がなく「法の抜け道」がある

    2020年度の環境省が公表した「犬・猫の引取り及び処分の状況」によると、全国で保健所等に引き取られた犬は2万7635頭(飼い主から2701頭、所有者不明2万4934頭)、猫は4万4798頭(飼い主から1万479頭、所有者不明3万4319頭)となっています。このうち所有者不明とは、野犬や野良猫、迷子の犬や猫、遺棄された犬や猫など所有者がわからない犬や猫の数で、かなり多いことがわかります

    こうして引き取られた犬や猫のうち、犬4059頭と猫1万9705頭が殺処分されました。

    マイクロチップ装着の義務化には、こうした飼育放棄や遺棄などを未然に防ぐ目的もあります。所有者不明の犬や猫を減らすことは、殺処分を減らすことにつながるからです。しかながら、安易に飼育放棄や遺棄などを行う悪徳業者は、義務化されたとしてもいずれは捨てる予定の犬や猫に装着はしないだろうとの指摘もあります。

    装着しなくても現状では罰則は設けられていません。事業者に課せられた飼養管理基準(数値規制)の徹底として、繁殖制限措置である交配が可能な上限年齢が守られているかどうかを個体ごとに確認する狙いもあるとされていますが、それもまた法の抜け道を考えるのではないかと懸念されています。

    ■効力の発揮には正しい理解と「監視の目」が重要

    2022年6月1日時点で、犬猫等販売業者が既に所有している犬や猫に関しての装着は努力義務とされる予定です。そのまま装着することなく、繁殖引退後に遺棄される可能性も否めません。一般の飼い主が飼う犬や猫に関しての装着も努力義務であるため、飼育放棄や遺棄が減るとは考えにくいのです。

    また、海外においては、犬の体内からマイクロチップを取り出してから遺棄されたという事例もあり、装着することでさらに犬や猫を苦しめることになるのではとの指摘もあります。施行後は、それらに対する「監視の目」もアップデートされることを期待します。

    筆者は「マイクロチップは飼い主と犬や猫をつなぐ大切なデータシステム」だと捉えています。この義務化をきっかけにマイクロチップの正しい情報が多くの人に伝わり、その知識や捉え方が進展していけば、根強い抵抗感や不安も払拭されていくと考えます。

    まずは、「マイクロチップを正しく知る」ことが大切です。そのための啓蒙(けいもう)活動をさらに進めることもまた重要です。普及が広がり効力を発揮するまでには、まだまだ多くの課題があり、時間が必要です。

    施行後はその状況をしっかりと把握し、見極めながら、よりステップアップしたシステムを構築していく必要があるでしょう。

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    阪根 美果(さかね・みか)
    ペットジャーナリスト
    世界最大の猫種である「メインクーン」のトップブリーダーでもあり、犬・猫などに関する幅広い知識を持つ。家庭動物管理士・ペット災害危機管理士・動物介護士・動物介護ホーム施設責任者。犬・猫の保護活動にも携わる。ペット専門サイト「ペトハピ」で「ペットの終活」をいち早く紹介。テレビラジオコメンテーターとしても活躍している。

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    犬・猫への装着が義務化されるマイクロチップ(出典=環境省HP「犬と猫のマイクロチップ情報登録に関するQ&A」)


    (出典 news.nicovideo.jp)


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     昨今、日本では保健所での犬猫殺処分への否定的な意見と、保護犬・猫への関心が高まっており、殺処分数は減少傾向、保護犬・猫の譲渡数は増加傾向を見せています。しかし、2020年4月1日2021年3月31日に殺処分された犬・猫の全国総数は2万3764匹と、今でも多くの犬と猫が保健所に持ち込まれ、殺処分されています。

    【画像】保護された犬と猫たち

    ※参照:環境省Webサイト「動物の愛護と適切な管理」

     保護犬・猫の譲渡についても、まず健康で幼齢の子犬や子猫に人気が集中。年齢を重ねるにつれ里親に引き取られる率は下がっていきます。では、病気や老齢の犬・猫たちが飼育放棄され保健所に持ち込まれたら――。その先には、「もらい手が見つからず殺処分」という厳しい現実が待ちかまえているのです。そんな、行き場をなくした犬・猫たちの命を守りたいという思いで活動する団体が長野県にあります。

     藤森由加里さんが代表を務める「フィリックスアニマ」は、高齢やハンディキャップ・病気を抱える犬猫を中心に保護し、終生飼養する団体。原則譲渡は行わず、その命が旅立つときまで世話をしてみとっています。

     譲渡を行わないということは、犬・猫たちにかかる費用を最後まで全て負担するということ。多くの保護団体が、犬や猫を譲渡した際に受け取る譲渡金を運営費の一部に充てるのに対し、フィリックスアニマはかかる費用全てを寄付金や助成金、物品援助、ボランティアたちの自己負担でカバーしているのです。

     今回編集部は代表の藤森さんに取材。活動のきっかけや、犬・猫たちの暮らし、団体の運営状況について聞きました。

    ●「殺処分をゼロにしたい」という思いで、保健所に飛び込んだ

    ――活動を始めたきっかけを教えてください。

    藤森さん:動物ボランティアをしていた両親の影響で、「保健所の殺処分をゼロにしたい」と思うようになりました。そこでまずは内情を知り課題を見つけて解決しなければと、保健所の現場に飛び込んだんです。

     保健所職員として働く間、理由なく殺処分される子をたくさん見ました。最初の年は、持ち込まれた内4匹しか引き取ることができませんでしたが、次の年は一生懸命譲渡したり、もらい手がいない子は自分で引き取ったりして、年間の殺処分が3匹で済んだんです。

     引き取った子たちはアパートや実家で飼育していましたが、それではとてもやっていけないと思い、シェルターの立ち上げを決めました。最初は1人で活動していましたが、父がもともと動物ボランティアをしていたので、両親がすごく協力してくれましたね。現在は10人のボランティアで運営しています。

    ――保健所職員としての日々はいかがでしたか。

    藤森さん:殺処分を目の当たりにするのが非常につらく、きつかったです。どうしても里親が見つからず、私も引き取れず、殺処分された子は心臓が止まるまでずっと抱きかかえていました。

     飼い主さんが「殺処分してください」と持ち込むのを見るのもつらかったですね。なかには、殺処分を依頼して笑顔で帰っていく人もいるんですよ。それを見るのも精神的につらかったです。

    ――笑顔で……。持ち込む理由はどんなものが多かったんでしょうか。

    藤森さん:「飼い主が亡くなった」「自分が病気になって飼えない」「引っ越すから」「犬猫が病気になって面倒を見れない」などが多かったですね。

     理由を勝手にこじつけて連れてくる飼い主さんもいました。愛情不足なだけなのに、「この猫は狂暴なので処分してください」と。その子はうちで引き取って愛情をかけたら、全く狂暴じゃないことが分かったんですよ。

    ●「白血病の子も、マヒがある子も、みんな生きる権利がある」

    ――なぜ、高齢や病気・ハンディキャップを持つ犬猫を中心に保護しようと?

    藤森さん:そういった子たちは行き場がないんです。譲渡しようと一生懸命動いても里親は見つかりません。保健所では、病気やマヒがあることが分かったらすぐに殺処分が決まってしまいます。でも私は高齢や病気の子も、ハンディキャップがある子も、当然生きる権利があると思っています。そんな子たちが安心して暮らせるようなシェルターにしたいと思ったんです。

    ――どんな場所からどんな犬・猫を保護していますか?

    藤森さん:一番数が多いのが年に1~2ケースある、多頭飼育崩壊現場からの保護です。ここで一度に20~30匹ほど保護しています。多頭飼育崩壊は、高齢者が「寂しいから」と複数の猫を飼い、不妊手術への意識が低いので増えてしまい、飼育崩壊するケースが非常に多いですね。

     それ以外は野良猫や、病気やマヒのため殺処分予定になった子を保健所から、ブリーダーが「もう使えない」と放棄した繁殖用の犬猫を保護することもあります。

     現在うちでは犬と猫合計で204匹を飼養していて、その内約200匹が猫ちゃんです。ほとんどが高齢か、白血病エイズなどの病気、体にマヒがある猫たちですね。

    ――204匹! 毎日のお世話は大変ではないでしょうか?

    藤森さん:本当に大変です。高齢で、病気やハンディキャップを抱える子たちが多いので、そのへんにおもらししてしまうことも。病気や体調を崩した子たちは片道車で1時間ほどかけて動物病院に連れて行かなければならないので、1日中お世話に追われています。

     白血病の猫ちゃんが多く、そういう子は大体4年生きるかどうかなんですよね。またその他の病気や高齢の猫ちゃんもあわせると、年間50匹程みとっています。でもとっても長生きしてくれる猫ちゃんもいるんですよ。うちの最高齢は28歳です。最初の飼い主さんが亡くなって、ボランティアさんが引き取って、その後私が引き取って。私が3代目の飼い主なんです(笑)

    (※取材後の3月15日、「ムック」さんは28歳で天国へと旅立ちました)

    ――28歳、すごいですね! フィリックスアニマでは譲渡はほとんど行っていない、と聞きました。その方針はどこから?

    藤森さん:保健所時代に身勝手な飼い主さんをたくさん見てきて、人間不信になってしまって……。私が直接知っていて本当に信頼できる人や、お世話になっている獣医師さんづてで信頼できる人にのみ、譲渡することもありますが非常にレアケースで、外部の人には一切譲渡していません。ほとんど全ての犬猫を、最後のときまでみとれるようお世話しています。

    2021年の支出は約820万円。赤字の110万円は自腹で補填

    ――多くの保護団体は、健康な犬猫を譲渡した際に得られる譲渡金を運営費の一部に充てています。譲渡を一切行わないのでは、年間の費用負担も大きくなるのでは……。

    藤森さん:2021年の医療費は約490万円、消耗品、光熱費など経費をあわせると合計で約820万円かかりました。ありがたいことに全国の方から支援金約350万円を振り込んでいただき、クラウドファンディングやその他寄付金、助成金も充てましたが、約110万円の赤字になりました。赤字は自腹をきって補填しています。借金ですね(笑)。高額な医療費がかかるFIP(猫伝染性腹膜炎)の子もいるので、医療費が追い付かない状況です。

    ――110万円を自腹で……。医療費だけでなく食費もかかりそうですね。

    藤森さん:一番大きいのは医療費ですが、毎日のことなのでフードもかかりますね。うちは元野良猫や、多頭飼育崩壊から保護した猫たちが多いので……。そういう子たちっておなか一杯食べられてこなかったから、食に執着があるんです。食べ物で苦労してきた子たちなので、「ひもじい思いをさせたくない」というのがあり……。

     1カ月に2.7キロのフードを約100袋消費します。Amazonほしい物リストで多くの方にフードを支援していただけるのが本当にありがたいです。

    ――大変な運営のなか、どんなところにやりがいを感じますか。

    藤森さん:なんだろう……。心を閉ざしていた子たちが心を開いてくれて、笑顔ですり寄ってきてくれるときですかね。その子たちに癒やされているときに「ああよかったな」「自分は間違ってなかったな」と感じます。あとは、病気だった子が寛解して獣医師さんに「奇跡だね」「よかったね」といわれると「頑張ってよかった」と思いますね。

    ●奇跡を起こしたエリザベスちゃんと美雨ちゃん

    ――特に印象に残っている猫ちゃんはいますか?

    藤森さん:エリザベスちゃんと美雨ちゃんのコンビです。エリザベスちゃんは保健所で働いていたときに、生後半年で交通事故にあって「前足だけで徘徊してる猫がいる」と連絡があった猫ちゃんでした。捕獲しましたが、骨盤も負傷していて排せつも自分でできず、保健所に「歩けない子は生きていけないから、殺処分」と言われました。そこを「そんなことは理由にならない」とうちで引き取ったんです。

     そして半年後、保健所に「ノルウェージャンフォレストキャット」の美雨ちゃんが持ち込まれ、うちで引き取りました。美雨ちゃんは先住猫に首をかまれたらしく、首の神経をやられて前足・後ろ足ともにマヒしていました。飼い主さんは「こういう子はお金もかかるし、面倒みるのが大変なので」と言ってました。

     うちで2匹一緒に暮らすようになったら、エリザベスちゃんが美雨ちゃんの首のまわりをなめてマッサージしてくれたり、排せつの面倒を見てくれたりするようになったんです。そのおかげで、美雨ちゃんは今後ろ足だけで階段をあがるまでに回復しました。獣医師さんも「本当に奇跡だね」と言ってくれてます。

    ――血がつながっていなくても、家族のように暮らしているんですね。

    藤森さん:毛色によって体臭が違うのでは、という説があるらしくて。不思議なんですが、うちでも同じ毛色でまとまる傾向がありますね。茶トラ茶トラでまとまるし、キジトラはキジトラでまとまる。割とそうやって部屋分けしています。あとは親子でまとめることも多いです。

    ●保健所は殺処分が前提。“安楽死”なんて死はない

    ――Twitterでも仲良く寄り添っている猫ちゃんたちが印象的でした。最後に読者や、動物の飼い主に対するメッセージがあれば教えてください。

    藤森さん:最後まで動物の所有権を放棄せず、命がおわるまでみとってほしいです。「かわいいから」で飼い始めて、途中で「引っ越さなきゃいけない」「面倒を見れない」と色々な理由をつけて所有権放棄をする人が多いんです。

     保健所って、譲渡する場ではないんですよ。「殺処分」が前提であることを、皆さんに忘れないでほしいです。もちろん保健所も譲渡事業を始めていますが、「保健所に連れて行けば誰かもらい手を探してくれる」という安易な考えの人が多いように感じます。あくまでも「殺処分前提の場所」だということを忘れないでほしいです。

     もしも、どうしても自分が飼えなくなったら、責任を持って代わりの飼い主を探す努力をしてほしいです。保健所に「猫がほしい」と年配の方が来るケースが多いんですが、「自分に何かあっても子どもたちが面倒みるから」というんですけど、いざ何かあったら、子どもは「親の猫だから知らない」「自分にはアレルギーがあるから」と保健所に持ち込む方も多いです。その場しのぎで「自分に何かあっても大丈夫」という人が多い。「自分に万が一あったときに、代わりに飼ってくれる人がいるか」を本気で考えて、見つからなければ飼わないでほしいです。

     心から言いたいのは、「安楽死」なんて死はないということです。みんな苦しんで死んでいきます。私はずっと殺処分される姿を見てきたので……。保健所に連れてきた飼い主さんたちは見ないで帰ってしまいますからね。そのことを心にとどめてほしいと思います。

    (了)

     私たちが普段譲渡会などで目にする保護犬・猫たちは、多くが健康で若い個体。そうじゃないと、里親が見つからない――。そんな現実が保護犬・猫たちを取り巻いています。少々乱暴ですが、人間にそのまま置き換えた場合「病気や歳をとっている人、体を自由に動かせない人は命を奪われていい」となるのでしょうか。

     そんなカテゴリーからはみ出してしまった犬猫たちを保護し、一生をともに暮らしている人がいる。藤森さんのように、懸命に命を守っている人がいることを忘れてはなりません。フィリックスアニマは「Amazonほしい物リスト」を公開中。医療費に充てる寄付金の支援をTwitter(@felix_anima_)で呼びかけています。

    取材協力・画像提供:フィリックスアニマ(@felix_anima_)さん

    猫風邪治療中のチビにゃんズ


    (出典 news.nicovideo.jp)


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    野生の猿が人間の赤ちゃんや子犬を連れ去るというケースはこれまでにもあったが、インドでは子犬ばかりを狙って命を奪う猿の群れが問題となっている。地元メディアによると、群れの子猿が犬に襲われて死んでしまったことで復讐のために殺害しているのではないかということだ。『News18』『New York Post』などが伝えた。

    インドのマハーラーシュトラ州ビード地区で、野生の猿の群れが子犬を襲うケースが相次いでいる。『News18』によると、1か月前に数匹の犬が生まれて間もない野生の子猿を殺してからこの問題が起きているそうで、村人曰く「猿が復讐のために子犬を殺害している」という。

    猿の群れは子犬を見つけると一瞬のうちに奪い去り、建物や木の上などの高い場所へ連れて行くとそのまま地面に投げ捨てるという。同地区にあるラヴールの村では猿の捕獲のために森林局に応援を頼んだが、当局は1頭も猿を捕獲することができなかったそうだ。

    そのため村人は飼っている犬を自分たちで守らなければならず、なかには子犬を救おうとして高い建物の上から転落して負傷した人もいるとのことだ。これまで同地区では250匹もの子犬が猿の犠牲になり、人口5000人ほどの同村では現在子犬が1匹もいないという。

    猿たちの暴挙は今も止むことがなく、幼い子供たちが登下校中などに猿に襲われるという事態まで起きており、村人たちをパニックに陥れている。

    インドでは過去にも、生後間もない人間の赤ちゃんが母親の授乳中に野生の猿に連れ去られて命を落とすという痛ましい事故が起きていた。また今回のケースのように人間以外の生物が復讐心を抱くとは考えにくいが、南アフリカではサイの密猟者が象に踏み殺された後にライオンに食べられてしまうといった野生動物の復讐とも取れるような事故が発生していた。

    画像は『News18 2021年12月17日付「Revenge of the Apes: Monkeys in Maha’s Beed On a Murderous Rampage After Dogs Kill One of their Infants」(Image: Suresh Jadhav for News18)』のスクリーンショット
    (TechinsightJapan編集部 MasumiMaher)

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    (出典 news.nicovideo.jp)


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