コロナ禍は、さまざまな制約のもとに人々のライフスタイル、経済活動に大きな変化をもたらした。庶民の娯楽であるギャンブルレジャーにも異変が起きている。
警視庁の発表によれば、2021年のパチンコ店の店舗数は8458店舗。1995年の1万8000店舗超えをピークに26年連続で減少を続けている。2019年に20兆円あった売り上げは、2020年には14.6兆円まで落ち込み、かつて30兆円産業といわれた市場規模は半分以下になった(『レジャー白書2021』より)。
「パチンコ業界の不振は、打ち手が望むような射幸性の高い機種が次々と規制対象となり、競技人口が減ってしまったことが大きいですね。ギャンブル依存症が社会問題化して、やり玉に挙げられることが多かったため、仕方がない部分もあるのですが……」(パチンコライター)
苦境にあっても、地域共生や社会貢献など業界健全化に取り組み、ホールとメーカーが一丸となって競技人口減少へ歯止めをかけようと努力していたが、コロナ禍でさらなる苦境へと立たされてしまった形だ。
前年比27%減と売り上げが大きく落ち込んだ2020年は、コロナの感染拡大に伴い、全国のパチンコ店に休業要請が出され、各店舗が営業自粛を余儀なくされた年だ。連日のように、感染拡大の一因であるかのように報道で取り上げられ、著しい風評被害を受けた。
規制による人気機種の撤去もあり、これを機会にパチンコから離れてしまった人は多いだろう。筆者もその一人だ。コロナ以前は週3~4日は通っていたが、すっかり行かなくなってしまった。落ち着いてから馴染みのホールに足を踏み入れた時、あまりの客入りの少なさに驚いたのを覚えている。うち1店舗は閉店してしまった。5月30日には、老舗パチンコメーカーの高尾が民事再生法の適用申請を行い、保全監督命令を受けた。
しかし、庶民の足がギャンブルから遠のいたわけではない。その証拠に競輪、競馬、競艇といった公営ギャンブルの売り上げは伸びている。
競輪は2021年度の総車券売上高が前年比28.6%増の約9646億円。8年連続で前年度を上回っている(公益財団法人JKA発表)。競馬は2021年度の売得金が前年比3.6%増の約3兆911億円で、こちらも10年連続の伸びだ(JRA発表)。競艇に至っては、2021年度は過去最高売上額となり、前年比14.1%増の約2兆3926億円を記録したと一般財団法人BOATRACE振興会が発表している。
いずれもコロナ禍で来場者数は減少したものの売り上げを伸ばし、ネット購入できる点が奏功した形だ。また、アプリの開発や活発な広報活動が認知度の向上とイメージアップにつながり、新規顧客獲得の一助となった。8時半頃から始まるモーニング、23時頃まで行われるミッドナイトなどの時間帯のレースを充実させ、さまざまなライフスタイルに対応できるようになったことも購入機会の拡大につながっているだろう。
例えば、最も前年比の伸びが大きかった競輪は、2019年4月に『WINTICKET』、2020年6月に『TIPSTAR』というインターネット投票サービスを相次いでリリースした。公益社団法人全国競輪施行者協議会は、令和3年度事業計画で新たな課題に向けて重点的に取り組む事項の一つとして20~40代の若い世代をターゲットに、インターネット上において興味を感じる広報施策を展開、新規顧客の取り込みを図るとしている。
TIPSTARは、単にお金を賭けて車券を買うだけでなく、ゲーム感覚で遊べるようになっているのが特徴のアプリ。365日レース映像が配信され、リアルタイムで提供される配信番組ではタレントやお笑い芸人らが常時解説をしながら予想を行なっている。その予想にのって購入できる「のっかりベット」システムは、初心者にとても親切だ。これらのサービスはオートレースでも行われている。
サービス内資産「TIPメダル」は様々な手法で入手でき、これをレースにベットすることで、無料で遊べるようになっている。的中するとガチャポイントがもらえ、ガチャを回せば、現金として払い戻しを受けることができるゲーム内通貨「TIPマネー」が獲得できることも。
「つまり、無料で楽しく遊んで、お金までもらえる可能性があるということです。新規登録で3000円分の『TIPマネー』がもらえるなどのキャンペーンもありました。自分の紹介URL経由で新規登録してもらうと、紹介者も『TIPマネー』がゲットできるので、配信当初は紹介URLを貼って積極的に話題に取り上げていましたね。紹介枠の上限に達するほどで、おいしく稼がせてもらいましたよ(笑い)」
そう語るのは、ポイ活系のインフルエンサー。普段はコンビニの無料クーポン配布情報や、ポイント高還元の買い物情報などを発信している。そういった人々の発信もあってか、アプリ配信直後はSNSでも話題になっていた。無料でお金がもらえるチャンス!とばかりに、既存顧客だけでなく競輪未経験の人々をも取り込んだのだ。
もちろん、筆者も競輪未経験ながら目の色を変えて興じた一人である。結果は惨敗だったが、もらったゲーム内通貨で誰の予想にのっかるのか、それとも素人ながらに番組を見て自分で予想するのか、高配当狙いで賭けるか──など頭を悩ませながら楽しく遊ばせてもらった。
競馬では、ゲームアプリ『ウマ娘 プリティダービー』が2021年2月に配信が開始されるや否や、瞬く間に大人気コンテンツとなった。同年の流行語大賞にもノミネートされるほどで、ゲームがきっかけで実競馬に興味を持った人も少なくない。各競馬場もコラボを行なったり特設ブースを設けたり、引退した名馬のいる牧場見学が話題になったりするなど“ウマ娘フィーバー”に沸いている。
また、同年に行われた引退馬ナイスネイチャのバースデードネーションでは、前年の20倍となる3500万円以上もの寄付が集まった。お金を賭けるだけの競馬ではなく、競走馬というコンテンツそのものがファンを獲得し、より良い経済効果を生み出しているのである。
パチンコからの客が多く流れたのではないかと予想されるのが競艇だ。新規顧客獲得に向けて努力を重ねてきた業界の戦略もあったのだろうが、人気上昇を示す一つの特徴として、パチンコライターの“鞍替え”も挙げられる。
「コロナ前から一部の有名パチンコライターが競艇へと進出していましたが、コロナ禍ではその動きは顕著でしたね。本業で稼げなくなったこともあって、仲間のライターが続々と他のギャンブルへと進出していきました。特に多かったのが競艇と競輪だった気がします」(前出のパチンコライター)
そうした動きに呼応するかのように、筆者の周りでもパチンコより競艇が話題に上ることが増えており、溜まりに溜まったギャンブル欲を抑えきれず、ついに競艇に手を出したのが2020年12月のことだ。
外出もままならず、ホールに打ちにも行けない。外出や飲み会が減ったことで支出が抑えられ、潤沢になった種銭。SNSでは家にいながらインターネットで舟券を購入し、競艇を楽しんでいる様子が流れてくる。近年流れていたCMのおかげでイメージも悪くない。それまで何度かオンラインのビデオチャットで友人らが楽しむ様子を見学しており、満を持して参戦してみようと思ったのである。なんといっても6艇での競技のため、当たりやすそう!と思ったのが大きい。
この当たりやすいというのは、ギャンブラーにとって非常に重要な要素だ。BOAT RACEオフィシャルサイトでも「ボートレースは6艇で競われる競技で、これは公営競技のなかでは最も少ない出走数になる。そのため着順を的中する確率も、公営競技のなかでは最も高いといえるだろう」と解説している。
インターネット投票サイトへの登録はすぐに完了して、30分とかからず投票の準備が整った。「インコースが圧倒的に強い」「展示航走やスタート展示の見方」など競艇の基本を教わりながら、友人らとビデオチャットで予想するのは非常に楽しく、3連複をメインに3000円分を購入した。
結果はビギナーズラックとはいかなかったが、久しぶりに触れたギャンブルの熱気と、コロナ禍で失われていた「誰かと何かを楽しむ」という行為自体が筆者の中で非常に楽しい思い出として残った。
今年に入ってからも月に1~2回ほど、友人らとビデオチャットに集まりボートレースを楽しむ日々が続いている。ミッドナイトボートレースがある日は22時頃までレースが行われるため、仕事終わり、お酒を片手に集まるのにも好都合だったのである。また、公式サイトで配信されるライブ映像では、野外の水辺の空気感を感じることもでき、閉じこもりきりだった生活に少しの潤いをもたらした。「現地は雨か」「風が強いな」などと言いながら予想に興じている。
さて、肝心の勝率はというと、友人の教えを一切無視して、高配当狙いを続けるレースが多いため、購入17Rに対して的中2Rなど成績は惨憺たるものである。新たな趣味の広がりを感じることができたのはよかったが、インターネット投票だと、財布の中からお金が減ってしまうという感覚が薄いため、つい掛け金が多くなってしまう傾向にあることは気をつけたいと思った。
今後、コロナ禍で変化した消費者の意識が、ギャンブルレジャーにさらにどのような変化をもたらすのか、注視していきたい。
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福島・栃木・群馬・新潟の4県にまたがる自然豊かな尾瀬国立公園内で、NHKの撮影スタッフと思われる人物が「只今NHKの番組の撮影中です。10分少々お待ちください」などと書かれたボードを持って、ハイキングしている人々を足止めしていたとする画像がツイッターで投稿され、話題となっている。
投稿によると、尾瀬ヶ原の木道をハイキング中、先を歩いていた人たちが足止めされ渋滞している状況に遭遇。その理由について、「この先でロケ中だからしばらく待ってくれと」と記している。
投稿画像では、「只今NHKの番組の撮影中です。10分少々お待ちください。お騒がせして申し訳ありませんがご協力の程宜しくお願い致します」と書かれたボードを持って木道の中央に立つ人物が、ハイキングをしている人々にこの先に今は進まないようお願いしているらしき様子が写されている。
尾瀬の木道は、人による湿原への踏み込みを防ぎ、自然を守るために整備されている。木道の中央で進路を塞がれた状態だと、木道から外れずに先に進むことが難しくなる。渋滞している状況になったのもそのためだと思われる。
投稿者は、別のツイートで、「先頭の方々は撮影班に問い詰めてるし、後ろからは、「私たちバスの時間があるんです。早く通してくださいと怒声」と投稿。現場は騒然とした状況になっていたようだ。
●通行止めして撮影か?管理者側「事前の連絡なかった」尾瀬国立公園の管理者は、今回の撮影およびその方法について承知していたのか。
同公園を管理する関東地方環境事務所は、弁護士ドットコムニュースの取材に対し、「NHKから事前に6月8日の撮影に関する連絡はあった」と回答。
撮影時の一般的な注意点のほか、「ドローンの撮影がメイン」と聞いたため、ドローンを飛ばす際の注意点などは指導していたが、木道を通行止めにするような態様での撮影については「まったく把握していなかった」という。
同事務所としては、撮影は「一般の通行の妨げにならないもの」であることが前提だったとしており、もし木道を通行止めにするような態様での撮影を予定している場合には「事前に伝えていただきたい」と話した。なお、今回の件に起因するトラブルなどは把握していないという。
●NHKの見解NHK広報局は、弁護士ドットコムニュースの取材に対し、「6月19日(日)BSプレミアムで放送予定の初夏の尾瀬をテーマにした番組に向けた撮影で、必要な許可を得て行っていました。ただ、スペースに限りがあることから、安全などに配慮し、訪れた方々にご協力を求めることがありました。不快に思われた方々の声を受け止め、今後の番組づくりにいかして参ります」と回答した。
「NHKの番組撮影中です」尾瀬の木道でスタッフが観光客を足止め SNSで情報拡散(弁護士ドットコムニュース) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 「NHKの番組撮影中です」尾瀬の木道でスタッフが観光客を足止め SNSで情報拡散(弁護士ドットコムニュース) - Yahoo!ニュース Yahoo!ニュース (出典:Yahoo!ニュース) |
季節は春から夏に移り変わり、日本各地でさまざまな祭りが開催されるようになった。そんな中ツイッター上では、富山県の祭りで行われた射的屋の不正が話題になっているのをご存じだろうか。
”事件”は、「氏子みこし巡行祭」や「神輿渡御」といった行事が行われ、毎年約25万人が参加する『山王まつり』(5月31日~6月2日)で起きた。
キッカケは第3者が投稿した、射的屋の不正行為動画である。お客が大当たりの的を落としたにも関わらず、店主は「もう一回落として」と要求し、景品(ニンテンドーswitchかPlayStation4)を渡さなかったのだ。動画はすぐに拡散され、被害にあったお客のAさんも(仮名)も反応。
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被害にあったAさんによると大当たりの景品が渡されることはなく、実際に獲得したのは飴と風船ガム、ラムネだったという。
射的屋の対応にネットでは、「えーこれはひどい」「子どもの夢を壊してまで儲けたい大人の醜き姿」「悪徳業者だなぁ」「アコギな商売してんな、転売ヤーよりも悪どい」といった批判の声が続出している。
当時の状況をAさんに聞いてみると、「本来であれば、ニンテンドーswitchかPlayStation4のどちらかを渡されるはずだったのですが、射的屋と近くにいたボール投げ屋の店主同士で話し合った結果、大当たりの的を後ろに置きすぎたということで、もう1回倒さないと獲得できないと言ってきました」と説明してくれた。
一部始終をを見守っていた周囲のお客は、「これが祭りの闇だね」「こんな店は来年から出ないでほしい」と冷ややかな反応だったそうだ。
被害者からすると詐欺にあったようなものだが、今回のような事例は罪に問われるのか。レイ法律事務所に所属する浅井耀介弁護士によると、「実際には高額商品を用意していなかったのにも関わらず、さも『大当たり』を倒せば高額商品がもらえるかのように装い、射的のコルク玉などを販売していた場合には、詐欺罪に該当する可能性があります」と指摘。詐欺罪となれば、10年以下の懲役が科される可能性がある。
自身がこのような被害にあわないような対策については、「目当ての商品が実際に用意されており倒したらもらうことができるのか、遊戯前に確認しておくこととはなりますが、こういったお店は割り切って楽しむしかないというのが現実なのかもしれません」と見解を述べた。
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